歯根破折について 縦破折
前歯の差し歯がとれた! という経験のあるかたも多いと思います。 その原因は??
根の真ん中にひび様が見えるでしょうか
ひび割れだけでなく、接着材も溶けていたのも、外れた原因です。 虫歯や外傷で神経を抜いてから時間がたった歯におこる典型的な予後になります。
歯根の破折 縦割れ
根の先端の方向に縦に割れていました。 歯の質も脆く、これでは、差し歯(土台)も支えることができません。 歯としては最終的な姿になります。残念。
インプラントにて終了しました
抜歯後と同時にインプラント治療を行いました。(2008年当時) 隣の歯2本のセラミック(セラミック/金属焼き付け冠)治療も同時に行いました。総治療費は770000円程度でした。 治療期間 約6か月 常に仮歯はある状態なので、見た目は保たれます。 インプラント自体は決して虫歯には今後なりませんし、折れることもほぼありません。しかしながら、インプラント周囲炎という、歯周病のようなものにはなりえますため、 毎日の歯磨きやフロスと、定期的なクリニックでのクリーニングとチェックアップ、レントゲン診査は必要になります。
一方このかたも前歯が折れました。
縦割れでなければ残せます!
前歯が横方向に割れてきました 歯肉の下のほうで割れたため、このままでは型もとれず、抜歯適応になりますが、 矯正的挺出/エクストルージョン/forced eruptionという方法を用い、 埋まっている根の部分を歯茎のうえに引っ張ってくることにより、根の保存が可能となります
歯肉の下4~5mmのところで割れてきています
前歯の差し歯での典型的な予後です。 上の前歯は通常、食事をする際も下の前歯からの斜めに向かう水平的な力がかかるうえ、 転んだりして前からぶつけたりしても、水平的な力が加わりやすいです。 しかしながら、縦割れでなく、横割れでしたので、矯正的挺出(エクストルージョン)を用い、今回は歯の保存が可能そうです。
セラミッククラウン(セラミック焼き付け冠/PFM)にて終了
2008年に破折してから10年以上トラブルなしです。 総治療費 20万円程度
デメリットとして; 隣の歯がセラミックであったりして矯正の器具が接着できない、歯を引っ張っている期間(最低1か月以上)は審美的にプラスチックやワイヤーが一部見えてしまう、等が挙げられます。 また、残っている根の状態が不良ですと、この方法はむつかしいです。
よって、保存するか、抜歯してインプラント治療やブリッジとの比較は毎回必要になります。